おばあちゃんの象牙のおへら

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いつから
このへらと
一緒に裁縫を
しているかしら?

高校の被服科を専攻し それから、ずっと一緒。
確か、私が名乗っいる『小川いと』こと祖母のもので象牙の滑らかな触り心地は 時には退屈な授業を落ち着かせてくれるものでした。

どちらかというと
和裁に使用していたんですが 今は私の裁縫箱の守り神のような存在です。

ちょうどワシントン条約で象牙の輸入が禁止された前後だったのか 母親に『ほんまもんの象牙やし、大事にしよし』そう言われていた。

大事にしたら 大事にしすぎて どこに入れたか分からなくなるときがあります。
二十歳を過ぎた頃、和裁どころか洋裁や手芸も自分の中の片隅においやった時、このへらをなくしてしまいました。
浴衣を縫うのに、探してもへらがないので 探しまくりました。結局、見つからず 手芸店でへらを新たに買いました。やはり、プラスチックのものしかなくて それをあっさり買い求め、浴衣の反物にへらをつけた時、衝撃が走りました。
使い慣れた象牙のへらと同じようにプラスチックのへらを使うと 印がつきすぎて、反物が切れそうになっていました。
それから 浴衣が仕上がったのか、私の中に記憶はないのですが
探しても見つからなかった祖母のへらは 知らない間に私の元へ戻ってきてくれてました。

もう、使うことはあまりないのですが、大切なものだからこそ いつもそばに置いておきたい。大事に片付けたら無くしてしまう。


そう言えば
いつかしら
へらに『西村』と書いてあるのが気になっていた。
もしかしたら
祖母のものではないのかしら?
もしかしたら、
祖母の旧姓かしら?
そんな思いを巡らせながら、
裁縫箱の中に
眠るおばあちゃんのおへらを
久しぶりに
抱きしめた。


私の裁縫箱の守り神。
ほんまもんの象牙のおへらは いつか私の手を離れ 娘に……………
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