熊谷登喜夫
山本耀司さんのお話を少ししましたが
これから、私の心惹かれた
デザイナーのお話を
していけたらな〜と思っています。
第一回目に
私が選んだのは
山本耀司さんより
確か一年先に装苑大賞を受賞された
熊谷登喜夫さんこと
『トキオクマガイ』
(以後、敬称略)
彼の死を知ったときは
すごく落ち込んだ。
彼は40歳だった。。。
彼は日本人で初めて
パリで成功した靴のデザイナーだった。
雑誌をめくれば
すぐに彼のものだと分かるくらい
その靴は美しく繊細で
履かずとも
その良さが分かるくらい
柔らかいものを感じた。
どうしても忘れられない靴がある。
女性の膝下から写っているのだが
その足は重なっているのか
重なっていないくらい細く白い
その足元を飾る淡いグレイのような
パールホワイトのような色
いや、その形のように
淡い淡いブドウのような色。
そう、まるでブドウ様な感じを思わせる
パンプス。
あの写真が忘れられません。
その後、彼は『TOKIO KUMAGAI』の
ブランドを立ち上げる。
私は、コレクションで見た
ブルゾンが欲しく
河原町阪急に『TOKIOKUMAGAI』が
入った日は急いで出かけた。
真っ黒なブルゾンが等間隔で
並ぶ中を私は
ゆっくり一枚ずつ探す。。。
きっと、若い娘がとびきりの
ギャルソンでお洒落をし
メンズラインのブルゾンを
探してる様は
滑稽だったかも知れない。
しかし、私の手が止まった。
「まちがいない。これだ。。」
凄く背の高いマヌカンに言う。
「これ、ください」
真っ黒なシルクのような手触りの
サテン地のキルティングのブルゾン。
両袖はキルティングされておらず
手触りはサラサラで
指先が乾燥していたら
引っかかりそうなくらい
繊細だった。
前身頃と後ろ身頃は
大き目の幅のキルティング。4〜5センチ角でしょうか。。。
袖と身頃の違いが
見た目だけでハッキリと分かるが
それは絶妙なバランスだった。
そして、私の一番の心を惹かれたのは
ブルゾンのウエスト部のリブの部分だ。
普通のブルゾンのリブは
分かりやすく言うとニットで編まれたものが
ついているが
彼のものは違った。
ハイウエストな感じで
リブ幅が12センチ前後あるのだ。
しかも、ニットのリブでなく
袖の部分と同じ
キルティングのされていない
生地を使い
その太いゴムを挟み込んでいた。
遠くから見ると
ブルゾンの上から
ウエスト部だけ細くなっていて
カマーベルトでもしているようだ。
そのウエスト部が私には
美しくて仕方がなかった。
そして、それを
その憧れのブルゾンに
袖を通す。
その時は細かったので
Sサイズを取り寄せてもらう事にした。
胸がうきうきした。
こんなに躍動する自分は
初めてだった。
商品が入り、私はまた、
急いでショップに向かう。
もう、再試着する必要など
なかった。
丁寧に包んでもらったブルゾンを
手渡される時、
あのときと違うマヌカンが
私に差し出してくれた。
「ショップオープンのノベルティです」
「ありがとうございます!!!」
私は家に帰るなり
ノベルティを開けた。
そこには厚めのサテンで出来た
バッグが入っていた。
とても愛用した。
(余談だが、TOKIO KUMAGAIの最後の『I』
を見てもらうと分かるが ・が二つある。
私は同じように手紙を書く時 HIROMIの『I』
が同じようになっていたのは言うまでもない)
そのノベルティがこのバッグ。
息子がどうしても
入れてくれというので
肩にかけさせた。
斜めがけのシンプルで
美しいデザイン。
そして、しっかりと
ロゴが。。。
私は23歳で古着屋を経営していたので
そのあと、このブルゾンも
常連さんに売ってしまった。
今、思うと後悔だが
このノベルティのバッグが
私の宝物。
かなりのレアなもの。
実は彼は
SEIKOから腕時計を出している
『時を忘れる時計』と
名付けられた
その美しいデザイン。
なぜ、買っておかなかったのか、、、
こちらの方が後悔の念でいっぱいです。
復刻でもいいので
SEIKOから出ないかと
考えています。。。
でも、きっと、
いつか、巡り会えそうな気がして。。
亡くなったあと、
トキオクマガイは
あの松島正樹が後を次ぎますが
数年ほどでトキオクマガイは なくなります。
アシスタントでは永澤陽一もいた事で有名。
そうそう、この永澤陽一は京都府出身で
最近、『品』という高級雑貨店を
プロデュースしたようだ。
店名:品(SHINA)
場所:京都府京都市中京区烏帽子屋町489
TEL:075-257-5567
トキオクマガイ
私の最も心に残るデザイナー
これからもずっと。。。
そして、あなたが
私に残してくれた
大切なノベルティバッグを真似て
私もバッグを作ります。
あなたの作品を
この目で見れた事
触れた事
そして、手にした事
本当に光栄でした。。。
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